第2話 〜真夜中の電話〜

昔、私がツーショットのサクラをしていた頃の話。
夜ベッドでウトウトしていたら、マイPHSが鳴った。
非通知だ。
マイPHSは、公衆電話からの着信でも「非通知」表示になる
不便な奴だったので、とりあえず電話に出てみる。

相手が誰だか分からないので、私は無言で。
相手も無言だった。
しょうがないので、私は「もしもし」と小さい声で云った。

相手も小さい声で「ぱんてぃー、何色?」と聞いてきた。
若そうな男の声。
こんなふうにインターネットが普及する時代になっても、
イタ電の文句って変わらないのねーと感慨深くなる。
こんな時普通は切るんだろうけど、サクラの癖で会話してしまう、、、。

「誰?」

ぱんてぃー何色か教える前に、聞いておこう。

「初めてかけたんですけど。」

けど?けどの後なに?

「めちゃくちゃの番号にかけたんです、時々やるんです。」

男は、丁寧な口調でおどおどしている。
バイトで会話するMっ気ある男性と同じ雰囲気。
男は21才だと云う。

最近女王様の練習をしたいと思っていたので、これは練習台になるとピンときた。
試しに男に云ってみる。

「186つけて、かけなおして。」
「僕の番号、誰にも云わないでもらえますか?」
「云わないよ。私だけ番号知られてるなんてカワイソウじゃん、私が!」
「はい。」
「名前なんて云うの?」
「正直に云うんですか?」
「そう、私も云うから。」
「あきら。」

男は素直に186をつけて、かけなおしてきた。

「めちゃくちゃな番号にかけて何を話そうと思ったの?」

本当に適当な番号にかけたのかどうか分からないけど、聞いてみた。

「正直に云うんですか?」
「云わないと話してあげないよ。」

「はい、Hな話しようと思って、、、。」
「ふうん。」
「、、、、、、、、。」

しばらく無言になった後、イタ電君が。
「もう切ってもいいですか?」

え?もう?私のぱんてぃーの色、未確認なのに?
イタ電かけてきた相手に、「切ってもいい」かと聞かれたの初めてだよ。

「もう辛くなったの(私と話すのが)?」
「質問していいですか?」

しばらく御互いに質問タイム。

「君ってマゾ?」
「マゾってどういうのですか?」
「いじめられるの好き?」
「ちょっと、、、、たぶん。」

よし、調教練習タイム。
私は慣れない女王様に挑戦。
仕事じゃないと思うとリラックスできる。

「おまえは変態だ。」
「知らない女の人に電話して恥ずかしい声を聞かせて、、、。」
「僕は変態ですって云ってごらん」等など男を言葉責めしてみる。

イタ電君、結構嬉しそうな声を出していたな。
ひとしきり調教練習タイムも終り、私はそろそろ電話を切らねばと思った。
いつまでもイタ電君と遊んでる場合じゃないよ!
もう寝ないとお肌に悪いわ。

「こんなに話してもらえて感謝してる?」
「感謝しています。」
「私の電話番号、誰にも云わないでよ。」
「絶対、云いません。こんな事(イタ電)してるの誰も知らないから、、、。」
「他の人に云ったら許さないからね。」
「はい、今日は有難う御座いました。」

私も練習台になってくれて有難うとは、口が裂けても云わない。

「じゃ、おやすみ。」

結局30分近く相手をしてしまった。




3ヵ月後。

PHSに非通知で電話。
電話にでると、聞き覚えのあるオドオドした話し方&丁寧な言葉遣いの男。
私は1回話した事があれば、たいてい2回目に話す時もすぐ思い出せる。
こいつは、あれだ。
イタ電君”あきら”。
思い出したけど、一応「誰〜?名前云ってよ。」と聞いてみる。

「あ、あのー、あきらです、、、。」

ふむやっぱりな、素晴らしい記憶力だわと自分に感心。

「非通知になってるよ、番号出さないと話してあげないよ。」

素直に番号通知してかけなおしてくるイタ電君。

「あの、僕のこと覚えてますか?」(ちょっと怯え気味)

「覚えてるよ。夜イタ電かけてきたんだもんね!
それでいきなり”ぱんてぃー何色?”って云ったんだよね!」

「はい。」(なんか嬉しそう、私が覚えてたから?)

しばらく近況報告しあう私たち。

「あの、実は僕、、、変態なんです。」

イタ電するくる位だからね、今さらそんな事云われても驚かないけど。

「どういうふうに変態なの?」

彼曰く少しマゾっ気があるらしい、そんなのとっくに知ってたよ。
前、調教してあげたじゃん。
とは云わなかった面倒くさいので。

イタ電君は、原子力かなんかの場所で検査の仕事をしている(詳しい事忘れた)。
本当は資格がないとソノ検査の仕事しちゃいけないのに、
イタ電君も同僚も資格なしで検査しているんだって。
ちょっと怖い。
”原子力”なんて言葉がつくと、とたんにね。
いつ日本が爆発してもおかしくなさそう。

それから数ヶ月間、イタ電君とは時々電話で話すようになった。
私から電話する事はなく、いつもイタ電君からの電話。
相談事されたり普通に雑談してた。

そして気がついたら電話もかかってこなくなくなり、
今となっては懐かしい思い出となったイタ電君。

実際に会った事ないけれど、どんな子だったんだろうな。
もう今はイタズラ電話、卒業したよね?

終わり




2004.12



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